カウンセリングと才能プロファイリングの違い

才能プロファイリングとカウンセリングの違いについてよく質問をいただくので、2つの違いについて解説します。

才能プロファイリングとカウンセリングには大きく3つの違いがあります。1つは目的の違い。2つ目は理論の違い、3つ目はアプローチの違いです。

目的の違い

カウンセリングの目的はクライアントの心理的問題解決をサポートすることです。より健康的になるためのジムのトレーニングやヨガのレッスンではなく、怪我や病気を直すための治療行為のようなものです。つまり回復が主目的です。

最終的にはクライアントが自ら問題や課題に向き合い、気づきや洞察を得て、自分の力で解決できる自律力・自立力を育むことを目的にしています。

一方で、才能プロファイリングの目的は、クライアントの才能を見つけ開花させる支援です。クライアントの才能開花という一点に絞って行うのが才能プロファイリングの特徴です。目的特化型のメソッドのため、才能プロファイリングの方法や手順、質問は決まっており確立されています。

主目的はクライアントが自分の才能を見つけて伸ばし、才能を生かして他者貢献できることです。

クライアントによっては才能開花を支援する上で、心理的問題解決のサポートが必要な場合もあります。その時は必要なサポートを行いますが、時間をかけるカウンセリングではなく、メンタルトレーニングを提案します。

理論の違い

カウンセリングは心理学の理論をベースに開発された技術です。どの心理学の理論をベースにカウンセリングを行うかはカウンセラーによって変わります。

日本ではカウンセリングを行う職業としては臨床心理士がもっとも有名で、臨床心理学が理論的背景です。

臨床心理学の背景には、催眠療法やフロイトの精神分析、ヴィントの実験心理学、ワトソンやスキナーの学習心理学、ロジャーズの人間性心理学、認知心理学など、さまざまな心理学があります。

これはスマホができた背景にはパソコンがあり、パソコンができた背景にはメインフレームという大型コンピューターがあったのと似たようなものです。

ただ、カウンセリングの目的はあくまでクライアントの心理的問題解決をサポートすることなので、理論的背景も悩みや問題発生の心理メカニズムを解明した理論です。

多くの心理的問題は「自ら問題や課題に向き合えない」「向き合うだけの余裕がない」ことから起きることが多いため、カウンセリングの第1ステップは「自ら問題や課題に向き合う力を育むサポート」になります。

たとえば掃除や片付けができないという現実に向き合うと、「整理整頓能力がない私」「無駄なものをたくさん買ってしまった私」など、無能力感や罪悪感というネガティブな感情を味わうことになります。

つまり「悩みや課題(心理的問題)の原因には、クライアントが向き合いたくない何らかの(ネガティブな)感情がある」と考えるのがカウンセリングの理論背景にある心理学の共通点です。これを原因論と呼ぶこともあります。

自らその感情を受け止める力を育むことで、問題や課題を受け止め対処できる力を育むのがカウンセリングの目的です。

一方で、才能プロファイリングは才能心理学という才能開花理論に基づいた才能開発メソッドです。

才能心理学とその他の心理学の大きな違いは2つあります。

  1. 才能開発特化型 *才能開発に特化した心理学の理論は他にはありません。(2020年9月13日現在)
  2. ネガティブな感情の捉え方

才能心理学ではポジティブな感情もネガティブな感情も含め、すべての感情を才能開花のエネルギー源と捉えています。

そのため過去の失敗体験、挫折体験、拒絶体験など、ネガティブな経験のせいで、大きな悲しみ、悔しさ、辛さを抱えているクライアントがいたとしても、クライアント自身がそれを才能開花のエネルギーに変えることができるなら、それを癒さずに才能開花のエネルギーに変換できるようサポートを行います。

ネガティブな経験をした人の中には、打ちのめされ心が傷つき受容や共感、癒しを求めている人もたくさんいます。しかし、一方で、それをバネに何かを成し遂げたいと思っている人もいます。

実際、世界を変えた起業家やリーダーたちの中にはトラウマやコンプレックスをバネに成功している人がたくさんいます。

彼らにとっての癒しは単に共感されたり、受容されたり、自分の心が癒されることではなく、社会や世界を変えること。自分と同じ悩みや苦しみを持つ人をゼロにすることです。

才能心理学は、才能開花の1つのタイプとして、ネガティブな感情が才能開花のエネルギーに変わる心理メカニズムを体系化した理論体系でもあります。

アプローチの違い

理論の違いを踏まえ、カウンセリングと才能プロファイリングの主要なアプローチの違いを説明します。

カウセリングの主要な4つのアプローチ

  1. クライアントの中に答えがある
  2. 聴く、質問する
  3. ゆっくり進む
  4. 負荷をかけない

クライアントの中に答えがある

カウンセリングは「クライアントの中に答えがある」という基本スタンスを持って進みます。

「クライアントの悩みや課題(心理的問題)の原因には、クライアントが向き合いたくない何らかの(ネガティブな)感情がある」と考えるため、答えはクライアントの中にあると考えるのは自然です。

聴く、質問する

またクライアントが自分の力で解決できる自律力・自立力を育むことを目的にしているので、カウンセラーの基本スタンスは聴くこと。質問することになります。アドバイスや解決策を提案することはあまりありません。

傾聴し、質問することでクライアントが自ら原因となる感情に気づき、向き合い、対処できる力を育むのがカウンセリングの役割です。

ゆっくり進む

また対象となるクライアントは「心理的問題を抱え心の体力がない状態にあることが多い」という前提のため、クライアントが自分のペースで感情や問題に向き合えるよう時間をかけて行うのが一般的。カウンセリングという技術もそのものがその前提で開発されています。

負荷をかけない

回復が主目的のため、クライアントに負荷をかけることもほぼありません。

才能プロファイリングの主要な4つのアプローチ

一方、カウンセリングと比較した場合、才能プロファイリングの特徴的なアプローチは次の4つになります。

  1. クライアントの中に全ての答えはない
  2. 聴く、質問する、フィードバックする、アドバイスする
  3. スピーディーに進む
  4. 成長を促すため負荷をかける

クライアントの中に全ての答えはない

才能プロファイリングは「クライアントの中に答えがある」というスタンスと、「クライアントの中に答えがない」という両方のスタンスを持って進みます。

理由は2つあります。

  1. 残念ながら、現時点では才能の見つけ方を知らない人が多いから
  2. 才能を評価するのは最終的には他者であり社会だから

順番に解説します。

才能の見つけ方を知らない人が多い

現在は多くの人が才能の見つけ方を知りません。才能を見つける再現性のある方法や手順があることも知りません。

そのような現状の中で、「あなたの中に答えがある」というスタンスを取り、クライアントに

  • あなたの才能はなんですか?
  • あなたの得意なことはなんですか?
  • あなたが人生で成し遂げたいことはなんですか?
  • 周りから評価されるのはどんなことですか?

と質問を投げかけても、的を得た回答が返ってこないことも多々あります。

たとえていえば「1+1=2」を知らない人に、「1+2=?」と問いかけても明確な答えが返ってこないのと同じです。

当てずっぽうで3と答えることができたとしても、その答えに確信がもてない、再現性を発揮できないなら、彼/彼女の才能を見つける役に立ったとは言えないでしょう。

つまり、クライアントの中に答えがない場合は、質問よりもティーチングが必要です。

何事も、自分の頭で考えるために必要な最低限の知識やノウハウを先に教えてもらった方がスピーディーに進みます。

そういう意味で、才能プロファイリングを実施する場合には

  • 才能開花のメカニズム
  • 才能を見つける方法

をまずクライアントに教えるティーチングの段階から始めます。

その後、才能プロファイリングシートに沿って才能分析を行います。診断結果を伝える際には「クライアントの中に答えがある」という基本スタンスに沿って進めます。「才能はクライアントのもの」だからです。

つまりクライアントの納得感、腑に落ち具合を確かめながら診断結果の才能でいいかどうか。才能を伸ばすトレーニングに入るかどうかを決めていきます。

医師やコンサルタントと同じで、プロといっても人間である以上、診断結果や分析結果を間違えることもあります。 正しいとしても、クライアントがそのような人生やキャリア設計、ビジネスを望んでいなければ、彼らの人生の質(QOL)を高めることはできません。

才能プロファイラーも同じです。

プロとして才能プロファイリングを行い、クライアントに才能分析結果を伝えますが、その結果をどう受け止めるかはクライアント次第。クライアントが結果に納得できない場合は、より深いヒアリングを行い正確な才能診断を行います。

なぜそこまでするのかといえば、人は納得しなければ行動しないからです。

クライアントが「これが本当の才能なんだろうか?」と疑問を感じていたり、「確かに周りから評価されるが、もっと自分の可能性をひらきたい」と思っている間は、診断の結果わかった才能をフル活用しようとは思えません。

才能プロファイラーが目指すのはクライアントが才能をフル活用すること。 そのためにクライアントが腑に落ちる才能プロファイリングにこだわります。

才能とは他者や社会に評価されるもの

才能とは他者や社会に評価されるもの

才能とは能力のことです。そして能力は常に他者や社会から評価されることによって価値を認められてきました。

「あの人は才能がある」と他者から言われるからこそ、その才能には価値があるわけで、誰からも評価されなければ社会的な価値のある才能とはいえません。

才能は他者によって評価されて初めて価値が生まれるもの。 この観点からいえば、「答えは他者の中にある」ということになります。

実際のところ才能開花する人は上司や顧客、審査員やファンなど、他者からの評価やフィードバックを才能を磨くヒントにしています。

カウンセリングとの比較で顕著にあらわれるのはこの評価の部分です。

私たちが傷つくのはたいてい他者評価がからんでいます。現在の資本主義システムや教育システムには評価基準や評価システムがあり、この評価基準にあった場合は成功、合わない場合は失敗。孤独感や挫折感を味わうからです。

この観点からいえば、カウンセリングの主目的は評価基準から外れた失敗感や挫折感を癒し、社会に戻る力を回復させることです。

一方で、才能開花を目指すなら必要なのは、評価から外れてもトライ&エラーを繰り返し、成果が出るまでやり続けるエネルギー。これをサポートするのが才能開発の専門家の仕事です。

他者評価に合うということは、他者貢献できているという証拠でもあります。

他者貢献要素のない才能開花や自己実現を目指しても成果を出すのは難しくなります。

そういう意味では「答えは他者の中にある」と言えます。

一方で才能開花に必要なモチベーション、あなたが最も心を突き動かされること、自己実現したいこと、目標、ビジョン、ミッションはあなたの中に答えがあります。

どれだけ他者から評価されても、モチベーションが上がらなければ才能を生かして目標達成しよう、ビジョンを実現しようとは思えないものです。

つまり他者からも喜ばれ、自己満足度も高い。 この2つが重なる点を見つけて初めて才能を伸ばすモチベーションも湧くものです。

私たちが目指しているのは自己満足的な才能開花ではなく、他者からも評価される才能開発です。

才能プロファイラーは他者評価と自己評価の重なりの中でクライアントの才能を見出し、才能開花をサポートします。

聴く、質問する、フィードバックする、アドバイスする

クライアントの才能開花を支援するには「成長」が不可欠です。才能診断の段階では「聴く」、「質問する」アプローチを多用しますが、才能を伸ばす段階ではトレーニングが必要です。

そのためフィードバックやアドバイスを行いながら、クライアントのスピーディーな才能開花を支援します。

スピーディーに進む

才能を見つけるのも、伸ばすのも、すべては才能を生かすため。才能は生かしてはじめて価値が出るからです。

クライアントのQOL(人生の質)を考えた時も、40代で自分の才能に気づく場合と、30代で自分の才能に気づく場合を比較すれば、30代で才能に気付き生かし始めた方が有意義な人生を過ごすことができます。

ビジネスという側面から考えれば、チャンスは永遠に待っていてくれるわけではありません。いち早く世の中にニーズやチャンスに気付き行動した人が、自分の才能を活かして活躍することができます。

クライアントのQOLとビジネス面の両面のメリットを考えた上で、才能プロファイリングではスピードを大切にしています。

成長を促すため負荷をかける

負荷のない筋トレがありえないように、才能開花、スキルアップ、成長には負荷が必要です。クライアントの成長段階に応じて、次のステージに進めるよう、才能プロファイラーは負荷のあるトレーニングや行動習慣を提案します。

まとめ

カウンセリングと才能プロファリングの3つの違い。

目的の違い

  • カウンセリングはクライアントが自ら問題や課題に向き合い、気づきや洞察を得て、自分の力で解決できる自律力・自立力を育む支援をする
  • 才能プロファイリングはクライアントの才能開花を支援する。才能開花トレーニング段階では目標達成も当然含む。

理論の違い

  • カウンセリングの背景にあるのは悩みや問題の発生メカニズムを体系化した心理学の理論
  • 才能プロファイラーの背景にあるのは才能開花メカニズムを体系化した才能心理学の理論

アプローチの違い

  • カウンセリングの基本スタンスは「クライアントのの中に答えがある」「 聴く、質問する」「ゆっくり進む」「負荷をかけない」。心の体力を回復できるようクライアントのペースに合わせる。
  • 才能プロファイリングの基本スタンスは「クライアントの中に答えがある場合と、ない場合がある」。スピーディーな才能診断、才能開花を行うため傾聴、質問、フィードバック、アドバイスをすべて活用。クライアントの成長を促すため負荷もかける。