コーチングと才能プロファイリングの違い

才能プロファイリングとコーチングに違いについてよく質問をいただくので、この記事では2つの違いについて解説します。

才能プロファイリングとコーチングには大きく4つの違いがあります。1つは目的の違い。2つ目は理論の有無の違い、3つ目はスタンスの違い、4つ目はステップの違いです。

目的の違い

コーチングの目的は、クライアントが目標達成するために自らアイデアや戦略を考え、自発的に目標達成するための行動を支援すること。そのためのコミュニケーション法がコーチングです。クライアントの目標によってコーチング内容も変わります。

才能プロファイリングの目的は、クライアントの才能を見つけ開花させる支援です。もちろん才能開花の目的はクライアントの目標達成支援なので、才能診断後はコーチングと似たプロセスを辿ります。

クライアントの才能開花という一点に絞って行うのが才能プロファイリングの特徴です。目的特化型のメソッドのため、才能プロファイリングの方法や手順、質問は決まっており確立されています。

理論の有無の違い

コーチングは1つのコミュニケーション法のことなので、明確な理論的裏付けがあるわけではありません。

「コーチングのセミナーにはじめて参加して話を聞いた時、これは私がずっとやってきたことだ。だったら私にもできる!」と思いラインセンスを取得し、人気コーチになった人もいます。

コーチングは1つのコミュニケーション方法のことなので、教えられなくてもやってきた人にとっては自然なコミュニケーションスタイルという場合もあるからです。

もちろんコーチの中には、「◯◯心理学を学びその理論にそってコーチングをしている」という人もいますが、そのコーチの自主的な選択です。どのような理論に沿ってコーチングを行うのかは各コーチに委ねられています。

一方で、才能プロファイリングは才能心理学という才能開花理論に基づいた才能開発メソッドです。ですので、才能プロファイラーは才能心理学という理論体系にそって才能診断・才能開発を行なっていきます。

理論に基づいたメソッドのため、才能プロファイラーがクライアントに提案する全ての質問やワークには才能を見つけ開花させるという明確な意図・目的があります。

「なぜ、この質問をするのか?」「なぜこのワークをするのか?」とクライアントに聞かれても、理由を答えることができるのが理論に基づいた才能プロファイリングの特徴です。

質問の目的は、クライアントの才能を見つけるために必要な情報を見つけること。質問はその目的を達成するための手段です。

手段と目的はつながってはじめ効果を発揮するので、私たちは目的につながる手段(質問、ワーク、トレーニングなど)の開発を大切にしています。

コーチングを学んだ人が理論や再現性のあるメソッドを学ぶため、才能プロファイラー養成コースに入会されることもあります。彼らからは、

  • コーチングの方法は教えてもらったが、なぜこの方法でいいのか理論を知りたかった
  • 単なる質問リストではなく、再現性のある質問とメソッドが欲しかった
  • ビジネスの現場で使うので、上司やクライアントに論理的に説明できる理論的根拠が欲しかった。
  • もっと早く、スピーディーにコーチングや1on1をしたかった

このような声をよく聞きます。

スタンスとステップの違い

目的と理論の有無の違いを踏まえ、コーチングと才能プロファイリングの基本スタンスとステップの違いを説明します。

コーチングのスタンスと5ステップ

コーチングは「クライアントの中に答えがある」という基本スタンスを持って進み、傾聴、質問、評価を活用しながらクライアントの目標達成支援をします。クライアントの自発性を大切にするのもそのためです。

そしてクライアントの目標達成支援をするため、次の5ステップに沿って進みます。

  1. 目標の明確化
  2. 現状と課題(問題)の把握
  3. リソースの把握
  4. 行動計画
  5. フォローと振り返り

各ステップでは傾聴、質問、評価を行いながら、クライアントが目標達成するために自らアイデアや戦略を考え、自発的に目標達成するための行動を支援をしていきます。

才能プロファイリングのスタンスと8ステップ

一方、コーチングと比較した場合、才能プロファイリングの基本スタンスは「クライアントの中に答えがある場合もあれば、ない場合もある」を持って進み、ティーチング、傾聴、質問、分析、評価(フィードバック)、トレーニングを活用しながらクライアントの才能開花と目標達成を支援します。

そしてクライアントの目標達成支援をするため、才能プロファイリングは次の8ステップに沿って進みます。

  1. 才能診断
  2. 成功パターン・失敗パターンの棚卸し
  3. 目標(ビジョン・ミッション含む)の明確化
  4. 現状と課題(問題)の把握
  5. 新たな行動習慣作り
  6. リソースの把握
  7. 行動計画
  8. フォローと振り返り

各ステップでは、その時必要となるアプローチをティーチング、傾聴、質問、分析、評価(フィードバック)、トレーニングの中から選んで活用し、クライアントの才能開花と目標達成を目指します。

クライアントの中に答えがある場合もあれば、ない場合もある

才能プロファイリングでも「クライアントの中に答えはある」というスタンスをとても大切にしています。しかし、才能開発という性質上、クライアントの中に答えがないのも事実です。理由は2つあります。

  1. 残念ながら、現時点では才能の見つけ方を知らない人が多いから
  2. 才能を評価するのは最終的には他者であり社会だから

順番に解説します。

知らないことは考えてもわからない

現在は多くの人が才能の見つけ方を知りません。才能を見つける再現性のある方法や手順があることも知りません。

そのような現状の中で、「あなたの中に答えがある」というスタンスを取り、クライアントに

  • あなたの才能はなんですか?
  • あなたの得意なことはなんですか?
  • あなたが人生で成し遂げたいことはなんですか?
  • 周りから評価されるのはどんなことですか?

と質問を投げかけても、的を得た回答が返ってこないことも多々あります。

たとえていえば「1+1=2」を知らない人に、「1+2=?」と問いかけても明確な答えが返ってこないのと同じです。

当てずっぽうで3と答えることができたとしても、その答えに確信がもてない、再現性を発揮できないなら、彼/彼女の才能を見つける役に立ったとは言えないでしょう。

つまり、クライアントの中に答えがない場合は、コーチングよりもティーチングが必要です。

何事も、自分の頭で考えるために必要な最低限の知識やノウハウを先に教えてもらった方がスピーディーに進みます。

そういう意味で、才能プロファイリングを実施する場合には

  • 才能開花のメカニズム
  • 才能を見つける方法

をまずクライアントに教えるティーチングの段階から始めます。

その後、才能プロファイリングシートに沿って才能分析を行います。診断結果を伝える際には「クライアントの中に答えがある」という基本スタンスに沿って進めます。「才能はクライアントのもの」だからです。

つまりクライアントの納得感、腑に落ち具合を確かめながら診断結果の才能でいいかどうか。才能を伸ばすトレーニングに入るかどうかを決めていきます。

医師やコンサルタントと同じで、プロといっても人間である以上、診断結果や分析結果を間違えることもあります。 正しいとしても、クライアントがそのような人生やキャリア設計、ビジネスを望んでいなければ、彼らの人生の質(QOL)を高めることはできません。

才能プロファイラーも同じです。

プロとして才能プロファイリングを行い、クライアントに才能分析結果を伝えますが、その結果をどう受け止めるかはクライアント次第。クライアントが結果に納得できない場合は、より深いヒアリングを行い正確な才能診断を行います。

なぜそこまでするのかといえば、人は納得しなければ行動しないからです。

クライアントが「これが本当の才能なんだろうか?」と疑問を感じていたり、「確かに周りから評価されるが、もっと自分の可能性をひらきたい」と思っている間は、診断の結果わかった才能をフル活用しようとは思えません。

才能プロファイラーが目指すのはクライアントが才能をフル活用すること。 そのためにクライアントが腑に落ちる才能プロファイリングにこだわります。

才能とは他者や社会に評価されるもの

才能とは他者や社会に評価されるもの

才能とは能力のことです。そして能力は常に他者や社会から評価されることによって価値を認められてきました。

「あの人は才能がある」と他者から言われるからこそ、その才能には価値があるわけで、誰からも評価されなければ社会的な価値のある才能とはいえません。

才能は他者によって評価されて初めて価値が生まれるもの。 この観点からいえば、「答えは他者の中にある」ということになります。

実際のところ才能開花する人は上司や顧客、審査員やファンなど、他者からの評価やフィードバックを才能を磨くヒントにしています。

他者貢献要素のない才能開花や自己実現を目指しても成果を出すのは難しいものです。

一方であなたが最も心を突き動かされること、モチベーションの源泉、自己実現したいこと、目標、ビジョン、ミッションはあなたの中に答えがあります。

どれだけ他者から評価されても、モチベーションが上がらなければ才能を生かして目標達成しよう、ビジョンを実現しようとは思えないものです。

つまり他者からも喜ばれ、自己満足度も高い。 この2つが重なる点を見つけて初めて才能を伸ばすモチベーションも湧くものです。

私たちが目指しているのは自己満足的な才能開花ではなく、他者からも評価される才能開発です。

才能プロファイラーは他者評価と自己評価の重なりの中でクライアントの才能を見出し、才能開花をサポートします。

まとめ

コーチングと才能プロファリングの4つの違い。

目的の違い

  • コーチングはクライアントの自発的な目標達成支援する
  • 才能プロファイリングはクライアントの才能開花を支援する。才能開花トレーニング段階では目標達成も当然含む。

理論の有無の違い

  • コーチングはコミュニケーション法のことなので、そもそも理論的裏付けはない。コーチにより、どの理論に沿ってコーチングを進めるかは違う。
  • 才能プロファイラーは才能心理学という理論的裏付けがあり、それに沿って才能プロファイリングを行う。

スタンスの違い

  • コーチングの基本スタンスは「クライアントのの中に答えがある」。よってクライアントに気づきや思考を促す対話・質問をする。
  • 才能プロファイリングの基本スタンスは「クライアントの中に答えがある場合と、ない場合がある」。よってクライアントのステージによってティーチング、コーチング、フィードバックを使い分けながら、才能プロファイリングを進める。

ステップの違い

コーチングの基本ステップは次の5つ

  1. 目標の明確化
  2. 現状と課題(問題)の把握
  3. リソースの把握
  4. 行動計画
  5. フォローと振り返り

才能プロファイリングの基本ステップは8つ

  1. 才能診断
  2. 成功パターン・失敗パターンの棚卸し
  3. 目標(ビジョン・ミッション含む)の明確化
  4. 現状と課題(問題)の把握
  5. 新たな行動習慣作り
  6. リソースの把握
  7. 行動計画
  8. フォローと振り返り